平成17年7月11日(月) 晴のち曇
尾瀬ヶ原 1400m

【 ル ー ト 】

 戸倉三枝駐車場⇔鳩待峠←(50,60)→山ノ鼻←→牛首←(40,32)→中田代三叉路
             尾瀬植物研究見本園一周(33)               
 歩行時間:3時間35分、駐車場:戸倉並木駐車場250台程度、有料(1000円/日) WC有り、乗合バス・タクシー:片道900円

【 メ ン バ ー 】

二人(フー、オクサン)


 10日頃から尾瀬の日光黄菅が咲き始めるとの情報があり、11日奥方と尾瀬ヶ原に出かけることとする。この日は、土・日出勤の代わりの休日の月曜日で尾瀬は空いていると思われ、奥方も乗り気になった。ただ唯一心配は、空模様で梅雨前線が丁度山陰から関東南岸へ通り、関東北部は前線の北側で曇りとの予報であった。当日の朝は少し雲が多いが晴れで、あまり心配はいらないようである。子供の通学を見送った後、7時半頃二人で自宅を出発した。
  
戸倉の並木駐車場へは9時過ぎに到着、駐車場は23分の入りであった。駐車場から乗合タクシーで鳩待峠まで向い、鳩待峠を丁度10時に歩き始めることが出来た。430に来た時は、雪が凍り滑り落ちるのを注意して下ったが、緑の中、こんなに歩き易いのかと思えるほど楽な下りである。
  
川上川沿いの木道になると、花々が目立つようになる。すでに花期も終わっていたが、雪笹(ユキサ゛サ)・延齢草(エンレイソウ)・舞鶴草(マイス゛ルソウ)が道脇に続いている。水辺に近い所では、葉が大きく成長した水芭蕉が大きな実をつけている。ふと薄ピンクの不思議な花を見かけカメラに納める。また、衝羽根草(ツクハ゛ネソウ)・銀竜草(キ゛ンリョウソウ)・御前橘(コ゛セ゛ンタチハ゛ナ)が次々とあらわれる。さらにその先には、図鑑等でしか見た事のなかった大葉竹縞蘭(オオハ゛タケシマラン)をみかける。足どりも軽くなるくらいウキウキするとともに、撮影が忙しくなった。
  
シラビソ林帯の平坦な道になり、430日時点では橋が通れない為の迂回路地点を通り過ぎると川上川を渡る橋は直ぐであった。橋を渡りほんの少し歩くと山ノ鼻に到着した。休日であれば人で溢れている場所であるが、この日は平日で少なくゆったり休憩できる雰囲気がある。ビジターセンターに立ち寄ると、先ほどのピンクの不思議な花が鍾馗蘭(ショウキラン)であることが判明する。山ノ鼻では今まで歩いたことのない『尾瀬植物研究見本園』を一周してみる。日光黄菅(ニッコウキスケ゛)・綿菅(ワタスケ゛)・○菫・小梅形草(コハ゛イケイソウ)・唐松草(カラマツソウ)・檜扇文目(ヒオウキ゛アヤメ)・行者大蒜(キ゛ョウシ゛ャニンニク)、稚児車(チンク゛ルマ)は花穂が風に靡いていて白い花と異なった趣があった。
  
一周後、いよいよ尾瀬ヶ原に踏みいる。前回は雪原の歩きであったが、今回は木道を花々を鑑賞しながらのんびり歩いていく。日光黄菅と檜扇文目(ヒオウキ゛アヤメ)が至る所に咲いている。今年は日光黄菅の当たり年らしいが、まだまだ蕾みも沢山あり23分咲と行った所である。池塘が現れ出すとまた違った花々が見られ、水草で睡蓮系の白い花の羊草(ヒツシ゛クサ)と黄色い花の尾瀬河骨(オセ゛コオホネ)、そして長葉の毛氈苔(ナカ゛ハ゛ノモウセンコ゛ケ)・立山竜胆(タテヤマリント゛ウ)が、一際目立ったのが朱鷺草(トキソウ)と沢蘭(サワラン)が可憐な姿を競っている。
  
牛首少し手前の休憩スペースでコーヒーブレイクとする。遅く歩き始めた分すでに12時近く、これからどうするかと迷った。今回は、中田代三叉路までで引き返し、山ノ鼻で昼食とすることにした。山ノ鼻山荘で私が味噌ラーメン・女房がカレーライスを頼むが、まぁ山で食べるということを割り引いても結構おいしいラーメンであった。山ノ鼻で少しゆったり休憩してから鳩待峠に引き返す。
  本行程で唯一の登りとなる約
1時間、改めて周りの花を見ながら登っていく。白い唐松草が咲いているが、葉っぱが尾瀬ヶ原のものと異なっていることに気づき、カメラに収める。家で調べると紅葉唐松草(モミシ゛カラマツソウ)のようであった。行きも咲いていた小さな白い花は、谷桔梗(タニキ゛キョウ)であることを荷物を運ぶボッカさんに教えていただいた。鳩待峠の入口で蔓紫陽花(ツルアシ゛サイ)の白い花が出迎えてくれて最後となった。

ル ー ト 上 の 風 景

1 川上川

2 尾瀬ヶ原1
(仮設橋)

3 尾瀬ヶ原2
(ヨッピ川方面)

4 尾瀬ヶ原3
(牛首付近)

5 尾瀬ヶ原4
(池塘)

6 至仏山

7 燧ヶ岳

8 景鶴山

9 鍾馗蘭
(ショウキラン)

10 衝羽根草
(ツクハ゛ネソウ)

11 銀竜草
(キ゛ンリョウソウ)

12 御前橘
(コ゛セ゛ンタチハ゛ナ)

13 大葉竹縞蘭
(オオハ゛タケシマラン)

14 稚児車
(チンク゛ルマ)

15 綿 菅
(ワタスケ゛)

16 小梅形草
(コハ゛イケイソウ)

17 ○○菫?

18 唐松草
(カラマツソウ)

19 野 薊
(ノアサ゛ミ)

20 檜扇文目
(ヒオウキ゛アヤメ)

21 行者大蒜
(キ゛ョウシ゛ャニンニク)

22 沢 蘭
(サワラン)

23 朱鷺草
(トキソウ)

24 未 草
(ヒツシ゛クサ)

25 尾瀬河骨
(オセ゛コウホネ)

26 日光黄菅
(ニッコウキスケ゛)

27 紅葉唐松
(モミシ゛カラマツソウ)

28 蔓紫陽花
(ツルアシ゛サイ)

29 大怜人草
(オオレイシ゛ンソウ)

30 谷桔梗
(タニキ゛キョウ)

31 長葉の毛氈苔
(ナカ゛ハ゛ノモウセンコ゛ケ)

32 立山竜胆
(タテヤマリント゛ウ)


 ツクバネソウ(衝羽根草) ユリ科 学名:Paris tetraphylla 花期:夏  深山の林内に生える多年草です。葉は茎の先端に 4 枚が輪生します。この姿が羽根つきの羽根に似ていることから和名が付けられています。茎の先に花柄を出し、外花被編枚の淡黄緑色の花を上向きにつけます。
 ギンリョウソウ(銀竜草)
 イチヤクソウ科 学名:Monotropastrum humile 花期:春〜夏  山地のやや湿り気のある腐植土の上に生える腐生植物です。全体がやや透明感のある白色で、鱗片葉に包まれた姿を竜に見立てた名前です。秋に出るものはアキノギンリョウソウというものです。
 ノアザミ(野薊) キク科 学名:Cirsium japonicum 花期:春〜夏  北海道を除く各地の山野に最も普通に見られるアザミです。春咲きのアザミはこれだけなので、間違えることはありません。
 ヒオウギアヤメ(檜扇文目) アヤメ科 学名:Iris setosa 花期:夏 亜高山帯の湿地や高層湿原に群生します。那須地方、および霧ヶ峰にはそれぞれナスノヒオウギアヤメ(那須野檜扇文目)、キリガミネヒオウギアヤメ(霧ケ峰檜扇文目)があります。直径 8 センチほどの青紫色の花をつけます。外花被片は広倒卵形で長さが 5 センチほどで垂れ下がり、基部に黄と紫の虎斑模様があります。内花被片は倒卵形で長さが 1 センチほどで、直立します。花がアヤメ(文目)、葉がヒオウギ(檜扇)に似ていることから命名されました。
 ギョウジャニンニク(行者大蒜) ユリ科 学名:Allium victorialis var. platyphyllum 花期:夏  深山の林下に生える多年草です。ニンニクのような強い臭気がありますが、茹でて酢みそ和えにして食べるとおいしいです。写真のものは頂き物で、これから葉が展開しようと言うところでしょう。葉は 2、3 枚つき、花軸を伸ばして花をつけます。
 和名は,修行中の行者が食用にするという意味です。
 トキソウ(朱鷺草) ラン科 学名:Pogonia japonica 花期:春  日当たりのよい湿原に生える多年草です。葉は一枚だけで、花も一つだけ咲きます。花の下にある小さな葉のように見えるものは苞葉です。
 和名が示すように,本来の花の色は朱鷺色なのですが,写真のものは白花です。
 ヒツジグサ(未草) スイレン科 学名:Nymphaea tetragona var. angusta 花期:夏 スイレン(睡蓮)との違いがよくわからないのですが、睡蓮はヒツジグサの園芸種ということでしょうか。ヒツジグサは野生の睡蓮といってもいいかもしれません。花の色は白です。和名はヒツジグサ(未草)といい、ヒツジは時刻を表す「未の刻(今の午後 2 時)」で、そのころに咲くといわれていますが、実際は明るくなると開き、暗くなると閉じます。
 オゼコウホネ(尾瀬河骨) スイレン科 学名:Nuphar pumilum var. ozeense 花期:夏  柱頭が深紅色なのが特徴です。「尾瀬に生えるコウホネ」ということですが、北海道猿払原野、本州の月山や尾瀬沼などに生育します。
 ニッコウキスゲ(日光黄萓) ユリ科 学名:Hemerocallis middendorffii var. esculenta
 別名:ゼンテイカ(禅庭花) 花期:夏  近種のキスゲ(黄萓)はユウスゲ(夕菅)ともいわれ,花の色が黄色く、葉は萓笠を作るカサスゲ(笠萓)に似ているからとか。日光地方に多いということからこの名前になった。
 モミジカラマツ(紅葉落葉松) キンポウゲ科 学名:Trautvetteria caroliniensis var. japonica 花期:夏 高山および深山の湿り気のあるところに生える多年草です。花茎の先に散房花序の白い花をたくさんつけます。この花が落葉松の葉ににており、葉が紅葉に似ていることから和名がついています。
 ツルアジサイ(蔓紫陽花) ユキノシタ科 学名:Hydrangea petiolaris 花期:晩春〜初夏  幹や枝から気根を出して、木や岩に這い昇ります。花はガクアジサイ(額紫陽花)に似ています。周辺部にある白いのは装飾花で、中央部にあるのは両生花です。
 ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔) モウセンゴケ科 学名:Drosera anglica 花期:夏 図鑑では、ナガバノモウセンゴケはDrosera indicaと書いてあります。湿原に生える一年草の食虫植物です。へら状の葉に繊毛が生えており、粘液を出して虫を絡め取ります。緑色の苔は水苔の仲間だと思います。
                ***Botanical Garden から転載***

 ショウキラン(鍾馗蘭) ラン科 花期:7-8月 樹林下やチシマザサなどの笹原に生え、高さ10-25センチになる葉緑素を持たない腐性植物。茎は白色でやや紅紫色を帯び、直立して長い柄の先に2-7個の淡紅紫色の花をつける。花の直径は3センチほどである。葉は鱗片状に退化している。よく似て花が黄褐色のキバナノショウキランは本州(関東〜紀伊半島)以西に分布する。
 オオバタケシマラン(大葉竹縞蘭) ユリ科 花期:6-8月 深山の林下や沢筋に生え、高さ0.5-1メートルになる。茎は途中で2-3本に分枝する。葉腋から目立たない緑白色の花を下げる。花柄の途中に関節があり、そこでねじれる。タケシマランは本州中北部に分布し、高さ20-50センチで花柄はねじれない。果実は赤く熟すのでよく目立つ。
 カラマツソウ(落葉松草) キンポウゲ科 花期:7-9月 花の状態をカラマツの葉にたとえてこの名がある。よく似たものが多く区別が難しい種類である。山地の林縁から亜高山の草原などに生え、高さ1メートルほどになり上部でよく分枝する。茎の上部に散房状の花序をつける。花のように見えるものは雄しべであり花弁はない。雄しべの花糸の先がこん棒状になっていて先端の葯より太いことが他との区別点である。そう果は10-16個。似た種として、マンセンカラマツ、アキカラマツ、ノカラマツなどがある。
 サワラン(沢蘭) ラン科 学名:Eleorchis japonica 花期:夏 別名:アサヒラン 高さ10〜20cm。花の大きさは2〜2.5cm。鮮やかな紅色をしたサワランは、形は小さいが湿原によく映える花である。あまり開くことはなく、初々しさを感じる。これと似た花にトキソウがあり、こちらの方はもう少し淡い紅色である。湿原を歩いていると、緑色の中に赤紫色の花が目立ちきれいだ。初夏の湿原を歩くにはかかせない花の一つ。湿原のあちらこちらに トキソウに混じって花を咲かせていた。 
 オオレイジンソウ(大伶人草) キンポウゲ科 亜高山帯の湿った草地に生え、高さ0.5-1メートルで花の色がクリーム色であることでレイジンソウとは容易に区別できる。花の長さは2-3センチ、根生葉は長さ20センチほどになる。花弁は萼片の中にかくれていて見えないが、花弁の距は長さ4ミリ以上ある。それが0.5-2ミリと短いものをエゾノレイジンソウという。
 タニギキョウ(谷桔梗) キキョウ科 花期:5-8月 木陰に生える高さ5-10センチの多年草で、都会の公園の森から高山帯まで生育の適応範囲は広い。葉は卵円形で互生する。花は長さ5-8ミリで5深裂する鐘状の花をつける。白色の地下茎を伸ばし、その先から地上茎を立てる。上向きに咲くし、花も小さく白いので一見キキョウには見えないが、きずをつけると白い乳液を出すなど、キキョウ科の特徴を備えている。
 タテヤマリンドウ(立山竜胆) リンドウ科 学名:Gentiana thunbergii forma minor  花期:6〜7月 高山から亜高山帯の湿原に生えるリンドウ属の2年草。ハルリンドウの高山型変種で、花の色が淡い。その他の点は多少繊細であることなど以外にははっきりしたちがいはない。境目の標高のところでは、どちらにするべきか迷う群落に出会うこともある。


  

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