平成16年7月3日(土) 晴 
シシコ゛ヤノ頭・七ツ小屋山・大源太山 1473m/1675m/1598m

【 ル ー ト 】

  旭原林道終点駐車場(登山口)(6:35)→(7)謙信ゆかりの道分岐→(謙信ゆかりの道)→(27)水場→(78)シシゴヤノ頭山頂→(42)1544m分岐→(44)七ツ小屋山頂→(4)大源太山分岐→(49)大源太山頂→(75)渡渉点→(14)謙信ゆかりの道分岐→(16)旭原林道終点駐車場(登山口)(15:45)
  歩行トータル時間:5時間56分、山と高原地図16:8時間30分、駐車場:旭原林道終点駐車場10台(無料)WCなし、三角点:シシゴヤノ頭・三等「広久保」、七ツ小屋山・三等「七ツ小屋」

【 メ ン バ ー 】
単       独


仕事や天候などの影響でご無沙汰していた山歩きを、約50日振りに再開するのに選んだのは、日本のマッターホルンと云われる『大源太山』を選んだ。鈍った体を4時半に無理やり起こし、準備後5時に自宅を出発する。途中、コンビニで食料を確保し、渋川ICで関越道に乗る。

長いトンネルを抜け一つ目の湯沢ICで関越道をで、旭原の登山口を目指す。道は標識もあり判り易い。林道終点の登山口に6時15分頃に到着する。テント泊の車が一台駐車され、朝食を取っていた。関越を越えると少し雲の多い天気であったが、ここではもう少し青空の面積が多くなっている。準備後、入山届を書き入れ6時35分に歩き始める。

針葉樹林帯の中の気持ちよい道を歩き始めると、直ぐに立山靭草(ウツホ゛クサ)が一輪咲いている。今日一日花に恵まれるような予感がしてくる。5分位で一本橋のある水量の多い沢に到着する。渡りきり沢沿いの少し湿り気のある道を進むと直ぐに、「大源太山」直登コースと「謙信ゆかりの道」コースの分岐に到着する。

今回は、ゆかりの道コースを進み一周して大源太山を通り、ここの分岐に帰ってくる少しハードなコースを選択していた。迷わず「謙信ゆかりの道」コースに進む。道は結構な広さ(最大2m程度)があり、その昔謙信の越後勢が通ったのであろうか?時間が早いせいか朝露かズボンを濡らし少し冷たい。また、よく周辺を見渡すと人工林の針葉樹林でなく、コナラ・ミズナラ・ブナ・シラカバ等の自然林帯であった。しばらくは沢を流れる水の音が聞こえてくる。

道が斜面をジグザグに登るようになると、倒木や折れた枝が目立つようになる。台風の風により最近折れたもののようである。また、道脇に大葉擬宝珠(キ゛ホ゛ウシ)がたくさん咲いている。登りがきつくなって来て、いつしか森林限界を越えていて見晴しも良くなってきたことが、50日間ブランクによる疲れ忘れさせてくれた。少し登り勾配が緩くなってきたと感じたら、直ぐ「シシゴヤノ頭」に到着した。ここまで約2時間の行程であった。

シシゴヤノ頭には、比較的新しい標識が建てられているのと、三等三角点が設置されていた。ここからは、遠方は霞んでいるが、近場の茂倉岳・谷川岳・万太郎山等がクッキリ、正面にはこれから進む笹の尾根道と馬蹄形縦走路がなだらかな曲線を描いている。西側を見るとこれから向う七ツ小屋山と大源太山が、そして両山を結ぶ尾根が浮かんでいて、結構遠そうである。20分くらい景色を堪能して先に進むことにする。

笹の中の道を進むが、なにやら黄色い花が見えている。まさかと思い急いで行くと今年初の日光黄萓(写真)である。まだ咲き始めたと行った感じである。この尾根でも大葉擬宝珠(キ゛ホ゛ウシ)が咲き乱れているといった風情である。のんびり・ゆっくりの尾根歩きであるが、最後少しきつい勾配を登りつめると、谷川馬蹄形縦走路上の1544m分岐に到着する。

しかし大源太山は、場所によって形が大きく変わる山である。ここまでくるとかなりマッターホルンの形に近くなってくる。この1544m分岐は蓬峠の西側にあり、ゆるやかな尾根の笹原のピークである。すぐ白山風露・白山千鳥・苦菜と立山靫草(写真)が目に入ってきた。蓬峠側を見ると一人登山者がこちらに向かってくるのが見えた。ここの尾根は太平洋側(利根川水系)と日本海側(清津川)を分ける分水嶺であり、そんな風に考えると何かしら感慨深いものがある。

一休憩後、七ツ小屋山に向けて標高差250mの分水嶺を歩き出す。直ぐに丸葉岳蕗がそして猪独活(写真)が目に飛び込んでくる。日差しは強いが心地よい乾いた風が、爽快な気分にさせてくれる。遠方は霞が強くなってきていて見えにくくなっているのが残念である。先程見えた男性登山者が追い越していった。

尾根の最低標高部は木道が唯一整備されていて、雨天時に水が溜まる所のようである。ここには、小さな花の立山竜胆(写真)が群生して咲いている。また、ここから見る七ツ小屋山は、なだらかで女性的な山容を見せていた。ここから七ツ小屋山までは一気の登りとなるが、50日間のブランクの付けが出始めたようで、かなり足に疲れが見えてきた。休みを小刻みに入れながらやっとの思いで山頂までたどり着けた。

山頂には、先ほど負い抜いて行った男性が休憩していた。男性は、土合駅から蓬峠に来て、峠からここまで足を延ばし、ここから引き返し峠から蓬新道で土樽駅に向うらしく、しばらくして引き返して行った。一人になり昼食の準備に取りかかり、いつものラーメンを作り食していると。大源太山から男女3人グループが、蓬峠側から夫婦連れが到着し、一挙に賑やかになった。3人グループは、ちょうど逆回りコースなので情報交換して私のほうが先に山頂を離れた。

数分で大源太山への分岐に着くが、清水峠へ笹原の中の道が下っている。その先には、ジャンクションピーク・朝日岳・笠ヶ岳が続いている。ひと時眺めやってから、大源太へ向かう、分岐から一登りしてから一挙に下る事になるが、ここから眺める大源太はマッターホルンに最も近いと感じた。

分岐から最低標高部までは、比較的緩やかな道を下っていくことになるが、疲れの見える足はガクガクしてかなり応える。途中4人連れとすれ違うが、挨拶するのが億劫なほど疲れてきている。何とか最低標高部にたどりつく。ここから見上げる大源太山は、誰をも寄せ付けぬ孤高な岩山のように見える。一休みし本日最後の登りに取りかかる。

最初は緩い登りであるが、すぐに岩場の登りへ変化する。特に危ないといったところはない。しかし、最後にロープ箇所が2箇所と垂直の2段のクサリ場が待っている。疲れた体には危険が高いのでいつもより慎重に進む。クサリ場を登り切ったところで息を整えるために休憩すると、上から「もうすこしですよ」と声を掛けてくれた人がおり、その声の応援を得て大源太山頂に駆け上がった。

山頂は、細長い平場となっており2組6人が休憩していた。山頂から西側にジャンクションピークから巻機山までの分水嶺の山々が、東側にシシゴヤノ頭から続き1544mピークにつながる尾根が、南側に馬蹄縦走路と大源太をぐるりと取り囲んでいる。山頂で時間をとってのんびり過ごすが、いつしか一人取り残されていた。少し雲行きもあやしくなって来ているので、急ぎ下ることにする。

大源太山から旭原の登山口まで下る尾根を『ムラキ尾根』と標記している地図もあるが定かでない。標高差約900mを下ることになるが、かなりハードな歩きになった。下りはじめてすぐのところで黄色い花の金光花(写真)が咲いている。これが今日最後の花になった。沢の水音が聞こえてくると、かなり下ったことになる。沢の渡河地点で先に下っていった夫婦連れが休憩していた。ここから、「謙信ゆかりの道」分岐はすぐで、丸太橋を渡り、15時45分にようやくバテバテ状態で駐車場に到着した。


ル ー ト 上 の 風 景


オオバギボウシ(大葉擬宝珠) ユリ科 学名:Hosta montana 花期:夏 擬宝珠(ぎぼうし)とは,橋の欄干に付ける葱坊主の形をした装飾だが,植物のギボウシとの関係はよくわかりません。大きな葉っぱの擬宝珠ということです。
 ニッコウキスゲ(日光黄萓) ユリ科 学名:Hemerocallis middendorffii var. esculenta 別名:ゼンテイカ(禅庭花) 花期:夏 近種のキスゲ(黄萓)は ユウスゲ(夕萓)ともいわれ,花の色が黄色く,葉は萓笠を作るカサスゲ(笠萓)に似ているからとか。日光地方に多いということからこの名前になった。
 ハクサンチドリ(白山千鳥) ラン科 学名:Orchis aristata 花期:夏 高山の草地に生える多年草です。和名は,石川県の白山に多く,千鳥の飛ぶ姿ににていることからつけられました。
 ハクサンフウロ(白山風露) フウロソウ科 学名:Geranium yesoense var. nipponicum
 花期:夏 高原や高山の草地に生える多年草です。和名は,石川県の白山に多く産することからつけられています。「ハクサン○○」という名前のついた高山植物がかなりあります。
 ニガナ(苦菜) キク科 学名:Ixeris dentata 花期:春〜初夏 山地や野原にごく普通に生える多年草です。茎の先端で枝分れし,集散花序に黄色の頭花をつけます。頭花は普通は 5 個の舌状花からなります(頭花が大きく,舌状花が 7 〜 11 枚のものは花苦菜でしょう)。葉や茎に苦みのある白い乳液を含むのでこの和名がついています。
 タテヤマウツボグサ(立山靫草) シソ科 学名:Prunella prunelliformis 花期:夏 立山に生えることから命名されましたが,本州(中部以北)の高山の草原などに生える多年草です。 
 マルバダケブキ(丸葉岳蕗) キク科 学名:Ligularia dentata 花期:夏〜秋 葉は丸くて大きくて,フキ(蕗)に似ています。高さ 1 メートルくらいの花茎を出し,直径が 8 センチほどの大きい黄色い頭花をつけます。トウゲブキ(峠蕗)というのに似ていますが,頭花のつく柄が枝分れするところに苞がついていないのがマルバダケブキです。
 シシウド(猪独活) セリ科 学名:Angelica pubescens 花期:夏 山に生えています。大きいので遠くにあってもよく目立つ。
 キンコウカ(金黄花,金光花) ユリ科 学名:Narthecium asiaticum 花期:夏 高山などの湿地に生える多年草で,長さ 6 〜 10 センチの総状花序をつけ,黄色い小さな花をたくさんつけます。

               ***Botanical Garden から転載***

 タテヤマリンドウ(立山竜胆) リンドウ科 学名:Gentiana thunbergii var. minor 花期:夏 ハルリンドウの高山型で、全体的に小さい。本州中部以北では日本海側に分布する。花の長さ1〜2cmの筒状の釣鐘形。萼の長さ5〜10mm。花の裂片間にある副片は卵形で先はぎざぎざ。


  

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